魔神英雄伝ワタル
いきなり書くのもなんだが、ハドソンにいた3年弱の間で、一番腹が立ったゲーム。プログラマに本気で怒鳴った唯一のゲームだったりする。
最終デバッグ段階で、どうしてもラスボスが難しすぎて、クリアできなかった。
このゲームは敵のエントリの出来も悪ければ、ゲーム内容も単調で、正直出来がいいゲームとは言い難かったのを我慢してプレイして、デバッグで最後まで行き着いたのに倒せない。自分だけが苦手かと思って、デバッグしていたゲームのうまい連中に聞いても誰も倒せていない。
だから担当の浦さん(この人と仲が良かったのでやたらゲームをやっていたわけだが)に「このラスボスを倒せるとは思えない。非常にジャンプがシビアで無理だ」と言った。
正直、かなり腹を立てながら言ったわけだが、北海道に来ていたプログラマ(メイン)は、なんと「倒せますよ」と言った。
「じゃあ見せてくれ」
正直あり得ないと思った。前回も書いたが、当時はゲーマーとしての腕は明らかにピークで普通のゲームをやるヤツより圧倒的にうまいだろう自分が何度やってもクリア出来ないのだ。
そしたら、まあいきなりラスボス前からスタートし、ラスボスと戦いだした。僕よりどう見てもヘタクソ。こんなん死ぬじゃんと思ったら、死にそうになったらデバッガでbreakをかけてHPを増やした
「それでクリアっていうつもりかっ」
その瞬間、マジで激怒して怒鳴ったら、そのプログラマは言った。
「最近のガキはうまいから、これぐらいクリアしますよ」
本当に浦さんが押さえてくれなかったら、殴ってたと思う。こんな野郎にゲームを作って欲しくないと本気で思った。
そしてもちろん、こんなひどい難易度ではラスボスはクリア出来ず、クリア出来ないとデバッグが終了にならないので浦さんが困っていたとき、僕はバグを見つけた。
ジャンプでラスボスの部屋に飛び込むとラスボスの起動判定が甘くて動かなくなり、簡単に殴り殺せるのだ。
「こうすりゃ倒せますよ、どうします? 浦さん」
「なあ、岩やんやあ(浦さんはそう僕を呼んでいた)、このバグは取らないでおこう。こうしないと誰もクリア出来ないと思うんだよね」
「僕もそう思いますよ」
というわけで、ハメて殺す以外殺しようがないラスボスでワタルは発売されたのだった。今でも知りたいが、ハメる以外で倒せた人は世の中にいるのだろうか。
ビジョンが見えている人って、極論ですけど僕は一つのゲームに一人しかいらないと思っていて、いろんな人が合議制でゲーム作るってちょっと、今まであんまりそれでうまくいったの見たことないんですね。誰か一人がガンガン引っ張っていって、これをこうやって作るんだって言って、最後のところではともすればただ選択肢でしかなくて正解じゃなくて、「どっち選ぶの? A? B? あ、Aが好き」だからAみたいなことでもそれは良くて、その積み重ねが最後多分色気になって出てくるんだと思うんですね。